2012/11/18

2012 関西夢街道スーパーRUN Episode2

Kansupa Episode 2
大阪城(60km地点)~石山寺(160km地点)
2012/11/2(金)~4(日)

日本100マイルクラブ主催
ワンステージとしては日本で最長距離(320km)を誇るマラソン大会。正式名称は「 関西夢街道スーパーRUN」、通称 「カンスパ」。距離もさることながら、山岳マラソン並みにアップダウンもきつい。六甲山と金剛山の登頂、2晩の山越え(大文字山と大和三山の登頂)、水越峠への登り、その先のダイトレはまさに地獄、昼間の暑さ、京都と奈良の夜の底冷え、孤独と睡魔との戦い。制限時間は56時間。

通常のウルトラマラソンの極意としては、「走りながら休む(エコ走行)」と「走りながら食べる(ガス欠防止走行)」ができないと体力は持たない。さらに、一晩や二晩越えの超ウルトラの極意としては、「走りながら寝る(目をあけて寝る!?)」と、教えられた。そんなアホな~!? できる訳ないが・・・それも実践トレーニング!?

そして、今回のカンスパに向けての自分なりの心構えとしては2つ。「前半は欲張らない」。どうしても元気のある前半に距離(=時間の貯金)を稼いでおきたくなるが・・・後半、しんどくなった時(疲れた時)に、前半のせいにしてしまう。たとえ、前半を自重して走っても、これだけの長丁場になれば、どっちみち後半はしんどくなる。肝心なのは、その時の気の持ちようだと思う。前半のせいにした「甘えっ」か!それとも、しんどい理由はない!気のせいだと思う「喝っ!」か!大事なのは気合を入れなおすこと。そして、もうひとつ「後半はドカ歩きしない!(もちろん前半もだが・・・)」。山岳コースやきつい登りは歩くとしても、平坦なコースでドカ歩きしだしたら、そこでリタイア同然だと考えて、それなりのペースで計画をたてる。前半は多少余裕を持った計画を立て、初日の夜は宝ヶ池(128.7km地点)での仮眠。後半、2日目の夜は奈良健康ランド(237.4km)での風呂&仮眠で2時間、そこからゴールまでの残り約83kmを16時間で計画した。たが、すでに30分のビハインド・・・。

■ Episode 1 からのつづき
11/2(金)の朝8時に宝塚をスタートし、5つめのCP(チェックポイント)の大阪城(60km地点)に16時半に到着。計画では16:00着なので30分の遅れだが、焦らずマイペースで行くことに。大阪城で、かおちゃんのサプライズ応援を受けて16:40に出発。桜ノ宮公園の中を通り抜け、毛馬水門から淀川河川敷を走る。次のCP6枚方大橋まで22kmだが、途中にコンビニどころか自販機もないので、念のため桜ノ宮駅のコンビニで、水と惣菜パンを買っておく。


17:16 毛馬水門に到着
ちょうど日が暮れかけた風景に思わずパノラマで撮影。まもなく日も沈み初日の徹夜ランが始まるが、ここから単調で変化のない河川敷はドッと疲れが出る。まだ眠くはないが、街灯もなく、無彩色で変化のない景色に遠近感も感じなくなり視野もうつろになる。



17:40 豊里大橋
淀川市民マラソンや水都ウルトラのコースで、ちょうど、この2日後の日曜に淀川市民マラソンが開催される。昼間は河川敷で野球やサッカーなどで賑わっているが、その面影はまったくない。駐車場に出入りする車もないので迂回することもない。ひたすら道なりに走る。

途中、ライトをかざし声援を送ってくれる方たちがいた。はじめての私設エイドだった。いやぁーありがたい。立ち寄って補給したついでにヘッドライトを装着する。幸い、向かい風も追い風も感じられないが、やはり夜に向かい寒くなってきた。



19:02 CP6 枚方大橋(82.0km)
夜の河川敷は遠くの夜景だけではどのあたりなのか判断ができず、淀川に架かる橋が目印になる。何度か橋が近くになるにつれ、次こそが枚方大橋かと思いながら・・・やっと到着する。

徐々に寒くなってきたので、暖かいものが食べたいと思っていたら、なんとカレーが用意されていた。ありがとう~。
しかも、「うどんとお粥、どちらがイイですか?」と、聞かれ、一瞬、お粥!?と自問自答しながら、「お粥で!」と答える。あったかいお粥に、あったかいカレーをかけていただく。ランナー思いのやさしいメニューに感謝!新発見だった!


カレーを食べながら、到着報告を池の仲間にメールする。ここまで各CPで、簡単なコメントをつけて到着報告を送信するだけだったが、携帯メールと狭山池夕焼けランのBBSをチェックした。立派さんとTeraちゃんがBBSに書き込んでくれて、多くの仲間がエールを送ってくれていた!。すべてをじっくり読めず返事もできないまま、20分ほど経ったので出発する。ご声援いただいた皆さん、ホントありがとうございました。返事ができずゴメ~ンです。

ここから、枚方大橋を渡り、今度は淀川の北岸の河川敷を走り、大山崎へ向かう。これまた街灯もなく寂しいコースを無心になって走るが、遠景すら目立つようなものがなく、またがる橋も見えない。はるか先に、信号機の青や赤になる様子が見えるくらい。なかなか近寄ってこず、メンタルにつらさが増す。視線を足元に集中し、これまたひたすら走るしかない。

途中になんどか分岐もあり、コースを見極めながら進む。ようやく、河川敷から堤防沿いの道に上がると、200mくらい先にハッチバックを開けたミニバンが見えた。2つ目の私設エイドだ。カンスパ経験者で、その恩返しだと言う。新鮮なフルーツがいろいろと用意され、巨峰や梨などをいただき、お礼を言って出発。

ここから国道171号線の歩道を走りだすと、国道沿いを新幹線が通り過ぎた。まもなく、先ほど見えていた信号機にたどり着く。山崎の信号だった。その先、京都府大山崎町に入り、名神高速と京滋バイパスが合流する大山崎JCTの下をくぐる。ちょっと間違えやすいわき道に入り宮前橋へ向かう。



21:04 京都市に入る
宮前橋を渡る手前で京都市に入った。



21:11 CP7 宮前橋(97.1km)
到着した時刻を記録紙に記入し、大鍋で炊かれたおでんをいただく。ゴボ天と大根、厚揚げを頬張った。そんなに熱くなかったが、これだけの大鍋をコンロで暖めておくのは至難の業だから仕方ない。でも十分に味は染み込んでいて美味しかった。


ここからは淀川に沿って桂川サイクルロードを嵐山に向かって走る。まだこのあたりは淀川だが、この先の久我橋で桂川と鴨川に分かれる。そこから先は桂川沿いを北上する。


サイクルロードは幅3mほどの舗装路で走りやすいが、街灯はないのでこの時間帯に走るライダーに注意しながら走る。


22:32 3つ目の私設エイド
桂大橋の手前の道路の片隅にワゴン車が止まっていた。「オツカレサマ~」と、声をかけていただき、温かいおしるこをいただく。


ちょうどイイ甘さで、お餅も入っていてランナーにとってはエネルギー補給の極み、格別の一品だ。身も心も暖まりましたーありがとうございました!

この辺りからコースが複雑になり、西大橋で対岸に渡り、河川敷に降りてしばらく細道を走る。途中から車が走れる舗装路に出たので、嵐山までもうすぐかと期待したが・・・まだまだ。



23:52 CP8 嵐山渡月橋(114.1km)
CP7から17kmほどだったが暗くて単調な河川敷は長く感じる。スタッフの方も寒さの中、すぐにカップ麺が食べれるようにと、お湯を沸かしながら待っていてくれた。と、カップ焼きそばをいただくきながら、気づいた。ありがとう。やはり、京都の夜の底冷えは半端じゃない、カップ麺ができるまでの3分ですら体が冷えて震えてくるほどで・・・。焼きそばでなくラーメンにすれば良かったな~と、ちょっと後悔。

ちょうど深夜12時を周り、初日目が終了したが、まだ114kmしか走っていない。残り、200kmちょっと・・・。フルなら5回・・・。ウルトラなら2回・・・。ま、いろいろ考えても、まだまだだなーと。でも、3分の1は超えた・・・。幸い、ここまで欲張らずのんびり走ったので脚ももっている。それに、エイドも充実していたおかげでエネルギー不足の疲労感はない。まだ、これくらいで筋肉痛も感じない。強いて言えば、寒さで筋肉が縮まっている感じがする。もう少し歩幅をとってストレッチ走行するのが良いかと考えるが、あまり意識せずに行くことに。



2日目(11/3) 00:05 渡月橋を渡り
嵐電の嵐山駅の前を通り抜け、その先の「きぬかけの路」を走って、世界遺産3本立て、仁和寺、龍安寺、金閣寺の前を通り抜けて、次のCP宝ヶ池へ向かう。宝ヶ池で仮眠するつもりだが、まだ睡魔に襲われていないので、着いてから考えることにして先を急ぐ。「きぬかけの路」は、情緒がありそうな名前だが、片側1車線の舗装路。歩道も街灯もあり走りやすいが、嫌~な感じの登り坂がいくつか続く。普段なら気にならない程度の決してきつくない坂だが、視覚的な疲れが先にでてしまう。



01:00 仁和寺前を通過
道路に面した南大門が見えた。堂々とした風格のある姿をスマホに収める。暗かったが、あたりの街灯で照らされていて、まずまずの1枚が撮れた。


01:12 龍安寺前
道路からは何も見えないが、入口付近のたたずまいから、昔、カミさんと来たことを思い出した。

後で知ったが、京都には世界遺産が17ヶ所あり、そのうち7ヶ所が今回のコースの近くにある。



01:23 金閣寺前
ここも道路からは何も見えない。何かそれらしきものがないかと探してみるが、暗くて何も見えなかったので、バス停を写す。


この先、北山通りを走って、さらに北上する。気分的に寒さが増した感じがする。寒さのせいか、まだ眠たくはない。

02:13 CP9 宝ヶ池(128.7km)
プレカンスパで試走したときは、朝の4時過ぎだったのでここで仮眠を取った。そのとき、スタッフの方が毛布を差し出してくれ、ほんの30分ほど仮眠することができた。しかし、今回はこの底冷えの寒さでは仮眠するどころではない。まだ、眠たくはないので、30km先のCP11石山寺まで我慢することにして出発する。


03:08 哲学の道
宝ヶ池から白川通りを下り、今出川交差点から銀閣寺に向かうところに、哲学の道の起点がある。それに沿って走って、世界遺産、銀閣寺に到着。

銀閣寺の裏通りへ入り、いよいよ第2の難所、大文字山へ向かう。昔、東山三十六峰で走ったことがあるが、前回の試走会(プレカンスパ)の時とも違い、こんな時間帯に登ることはまずない。しばらく舗装路を小川に沿って登り、途中の小橋を渡ったところから本格的な山道になる。ヘッドライトだけでは視野が限られ、足元に注意しながら無心になって登る。息が上がり、手をひざに乗せて登り、やっとの思いで登りきると平坦なところに出たが、また登る。

やがて見晴台に通じる階段まできた。ここを登れば、大文字焼きの斜面のところにでる。


 

03:45 大文字山見晴台到着
階段を上りきり、見覚えのある高台に着いたと思った瞬間、真っ暗な視野の中に、みごとなダイヤモンドのパノラマが広がった! 今までの疲れが吹っ飛んだ。これまで、カンスパの試走会を含め3度ほど着たことがあったが、いずれも日中の眺望しか見たことがなかった。

しばらくここで休憩しよとしたが、写真を撮っているわずかの時間で一気に寒くなってきた。頂上はまだ先なので長居はできない。見晴台からの階段を登り頂上へ向かう。また暗い山道を登り、山頂でカロリーメイトを一口食べる。ポーチに入れていたので粉々になっていた。

山頂を通り抜け、東山(45)の道標から京都一周トレイルのコースを走って山科方面へ下る。ここも真っ暗でライトの照らす範囲だけではコースアウトしかねない。慎重に道標を確認しながら進む。途中から急な下りになり、ライトで足元を照らすが凹凸感が良くわからずおぼつかない。山岳での夜間走行の難しさだ。特に下りは、グリップが利かず降りるのは大変だった。

下りきったところの思案処(39)の分岐点から山科へ下り、やっと山道を抜け山科疎水の遊歩道に出た。さすがに5時を回り眠気がでてきた。下っているときは集中力があったが、平坦なところにでたところでその緊張感もとぎれたのか、睡魔に襲われる。大文字山を一緒に走ってきた松○さんも、さすがに睡魔に襲われ、遊歩道沿いの公園で仮眠することに。

ウインドブレーカーの上から雨対策のビニール袋をかぶり、バックパックを枕にして、ベンチの上で海老のように丸くなって横になる。念のため、30分後にタイマーをセット。しかし、5分も経たないうちに寒さで震えだす。でも、眠たいのでじっと目を閉じて我慢する。脳裏で睡魔と寒さの戦いが始まる。15分後、決着がついた。寒さが勝った。と言うか、睡魔が退散した訳ではない・・・。仕方なく、起き上がり身支度をして、松○さんに一声かけて走ることにする。

山科の疎水は、琵琶湖の水を京都市内に引く目的で作られた疏水。春は遊歩道沿いの桜が綺麗だそうだ。ほんの20分ほど横になったが、ちょっと気分的に楽になった感じがするが・・・眠たいし、メチャ寒い。

とりあえず、2つ先のCP石山寺まで行けば仮眠ができるだろうと、思う一心で疎水の散策路をあとにする。


06:25 CP10 小関峠
(146.7km)到着
京都府と滋賀県の県境の近くにある小関峠(標高は206m)。さほどきつくない登りだったが、疲労感と眠たさで脚が重い。


峠を過ぎ4つ目の滋賀県に入る。市街地の中を抜けて琵琶湖半にたどり着く。



07:03 琵琶湖半(大津市)
大津湖岸なぎさ公園に入る。プレカンスパの時と同じように、公園のトイレで朝のお勤めを済ませ、湖岸沿いの散歩道を走る。雲の切れ間から朝陽が顔を出した。眩しい!目の奥が痛くなるような眩しさで睡魔も影を潜めた感がする。

このかなた先に見える近江大橋を渡ると、石山寺まですぐそこ。と、思うが・・・近江大橋まで、まだまだ先・・・。近江大橋自体が1.29km・・・、そこから瀬田川沿いを南下・・・、もうひとつ橋を渡り・・・、新幹線の下を通り・・・、石山寺駅の前を通過し・・・。全然すぐそこではないと、つくづく思い直す。

 



08:12 CP11 石山寺(160.0km)
予定通り到着。でもまだ中間地点。スタッフの方から、「お疲れ様~」と労われ、「トーストっ食べますか?」と聞かれ、「えっトースト!」と、聞き返すと、「2枚くらい食べますよね?」と、さらに、「マーガリンとジャムもありますから!」と、なんと、気の利いたモーニングサービス!つくづく、カンスパのエイドには頭が下がる。

ここで、東京で知り合った、これまた超人の域を超えた”ムラ○○さん”が出迎えてくれた。良いお歳なのに、昨年トランス蝦夷を走破され、数々の超ウルトラを完走されている。全く年齢を感じさせない、凄いランナー!今回、初めてカンスパに参加、C:160kmの部にエントリーされ、ここを10時にスタートするとのこと。改めて、その謙虚な姿勢に、いきなりAに挑戦している自分が恥ずかしくなった。

トーストがほどよく焼きあがりマーガリンで食べる。朝食を済ませ、松○さんが到着するまで、どこかで仮眠しようかとしたが・・・8時過ぎでも寒く、毛布もないとのことで・・・あきらめて椅子に座って寝るが、やはり寒さでじっとしていられない。30分ほど休憩したが出発することに・・・


08:40 石山寺を出発
試走会(カンスパハーフ)の時は、宝塚から160km走ってきてここがゴールだった。その時に思ったことだが・・・本番はこの倍を走らないといけない、ここをスタートする時の心境がどんな気持ちだろうか?フルマラソンの中間地点とはワケが違う。仮に、コースがここで折り返して、スタート地点の宝塚までの戻るとしても160kmだが、そう思うと気が遠くなる。ここから別の自分にリレーする駅伝だと思って、頑張るしかない!いろいろ考えても、160km走ってきたことは事実。

ただ、ここから45km先の木津駅までは一度も試走していないので、大会までに試走を計画したが・・・実行できないまま今日に至った。とりあえず、GoogleMapやストリートビュなどを駆使して、コースの拡大図やランドマークをメモした。しかしこの先の奥宮神社から先は地図上に道が描かれてなく、行ってみないとわからない。そんな感じの心構えで、後半へ望む・・・・・・。

Episode 3へつづく・・・


Kansupa Route(CP5 大阪城→CP11石山寺)

記録
CP5   大阪城    60.0km 16:40 出発
CP6   枚方大橋        82.0km 19:02  (22.0km 2:22) 
CP7   宮前橋           97.1km   21:11   (15.1km 2:09)
CP8   嵐山渡月橋  114.1km   23:52   (17.0km 2:41)
CP9   宝ヶ池          128.7km    2:13    (14.6km 2:21)
CP10 小関峠          146.7km    6:25   (18.0km 4:12)
CP11 石山寺          160.0km    8:12   ( 13.3km 1:47)

Start → CP11   160km 24時間12分



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